うたた寝でみた短い夢が、長い間夢の中にいたようなきもちで目覚めた
大きな船が丸ごとタイ料理屋さんでわたしは迷子になって同じく迷子だった黒い犬を抱きかかえ歩き回っていた 黒い犬はしっかり重みがありおなかはぱつんぱつんに張りがあり桃色でそこを撫でながら歩いた 犬はときどき気付くと目の錯覚のようにぬいぐるみになったりしていて、ほんものの犬に戻ってはたまに腕からおりて走り回ったりしていた ぬいぐるみのときは黒いボタンの目 わたしは皆で食事をしていた部屋がどうしてもみつけられず途方に暮れている そういえばまだひとくちも口にしていなかったなと思い出す グリーンカレーおいしそうだったのになと卑しくも思う 席についてる時もうれしくしたり居心地がわるかったりして 望んで席を立った気もする ときどきすれ違う知人も知らない人のようで 黒い犬を抱きしめながらとにかく木の甲板を人とすれ違いながら歩いた 目が覚めたとき、腕の中の黒い犬の重みとおなかの張りの感触とあたたかさが残っていた ぼんやりとしたまま、こないだ手渡してもらった絵を眺める コップの水面から鳥が生まれて円を描いてつながっているのを数えたりした そのあと映画館へ走りみたかった映画をみた
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